われわれは秘密をもち、それを告白したいという欲求をもっている。次のようなことを憶えているだろう。子供のころ、大人というものは何とわれわれの心を見抜くことのできる存在だったことか。そして恐れおののきながら初めての嘘をつき、ある面では自分は全くひとりぼっちなのであり、自己の領土内には自分の足跡しかありえないことに気がついたとき、それはなんという体験であったことか。
このような真のプライバシーこそ真の人間関係の基礎なのだが、「統合失調症気質」と言われる人たちは、他人に対してわれわれ以上に晒され傷つきやすいと同時に孤立していると感じているのである。
『引き裂かれた自己』-P50